「ミュシャ展‐パリの夢 モラヴィアの祈り」
アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)
とても楽しくて、満足感たっぷりの展覧会だったのでカタログを買いました♪
19世紀末を代表する画家であり、アール・ヌーヴォー様式の巨匠でチェコ生まれのミュシャ。
第一章ではミュシャの芸術の原点となる祖国愛をテーマとした自画像や、故郷イヴァンチッツェを題材とした作品などの導入から始まり、ポスターをはじめ、絵画、装飾パネル、宝飾品など、ミュシャに直接関わりのあるプライベートな作品が約240点展示されていました。
当時「女神サラ」と呼ばれていたフランスの大女優だったサラ・ベルナールの舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけて一躍有名になるきっかけとなったミュシャ。
・「ジスモンダ」のポスター
きらびやかで華やかで厳かなこの作品は、当時パリで大好評となって、その後も彼女のために《椿姫》、《トスカ》、《ハムレット》など、サラ・ベルナールのポスターを制作していきました。
・《椿姫》のプログラムの挿絵の下絵やポスターなど
サラ・ベルナールと言うと、ヴェルディやプッチーニなどの作曲家をはじめ、多くの観客を魅了させていた名女優。
デュマ・フィス原作の「椿姫」の舞台で彼女の演劇を観て
ヴェルディは「椿姫」をオペラとして作曲し、
フランスの劇作家ヴィクトリアン・サルドゥは彼女のために戯曲「ラ・トスカ」を書き、
サラ・ベルナールの舞台を観ていて感激したプッチーニが彼女の為に「トスカ」のオペラを作曲したといわれている位、オペラにも深い縁のある女優さん。
ミュシャが手掛けたサラ・ベルナールの「椿姫」や「トスカ」などのポスター、貴重な作品を見ることができ嬉しかったです♪
ミュシャは連作の装飾パネルも数多く手がけていています。
≪代表的な作品≫
• 『四芸術』-「ダンス」「絵画」「詩」「音楽」 (1898年)
左から朝、昼、夕方、夜を描いています。
「ダンス」では風の吹く爽やかな朝、軽やかに舞う女性
「絵画」では燦々と陽光の降り注ぐ昼間、雨上がりの虹に囲まれた女性が水滴を帯びた赤い花を見つめる姿
「詩」では黄昏時の夕方、物思いにふける女性
「音楽」では夜にさえずるナイチンゲールに耳を傾ける女性を描いています。
• 『四季』-「春」「夏」「秋」「冬」 (1900年)
• 『四つの宝石』-「トパーズ」「ルビー」「アメジスト」「エメラルド」 (1900年)
• 『四つの星』-「月」「明けの明星」「宵の明星」「北極星」 (1902年)
ミュシャはポスターをはじめ、絵画、装飾パネルの他、舞台衣装や香水、石鹸など商品パッケージのデザイン、食器やアクセサリーなどの宝飾品デザイナーとしても活躍していました。
・キャンディの箱
・舞台衣装のデザイン
今回の展覧会で、私好みのデザインだった、シャンパンのモエ・エ・シャンドン社のポスター。
《モエ・エ・シャンドン:ホワイトスター シャンペン》 1899 年
ポストカードを額に入れて飾っています♪
ミュージアムショップには素敵なグッズやポストカードが沢山ありました。
お気に入りの三枚を購入*
左から 《モエ・エ・シャンドン:Champagne White Star》
《椿姫:La Dome aux Camelias》
《トスカ:La Tosca》
晩年ミュシャは故国のチェコに帰国し、スラヴ民族の歴史を描いた《スラヴ叙事詩》を制作しています。
チェコの作曲家であるスメタナの組曲『わが祖国』から着想を得ているそうです。
サラ・ベルナールをはじめ、優美でしなやかな女性達や、お花・植物・自然からのモチーフ、流麗で華麗な曲線を多用しているミュシャの作品。
近くでじっくり見れば見る程楽しめる作品ばかりで、今まで知らなかった新たなミュシャの魅力に出会うことができました(^^)
もう一つ、時代も手法も全く違う、『ラファエロ展』も6月2日までの展覧会。
こちらも行けたらいいな~♪