神奈川芸術劇場KAATでプッチーニのオペラ「喋々夫人」より宮本亜門さんが構成・演出を手がけるネオ・オペラ「マダムバタフライX」を観に行きました。
「喋々夫人」は、日本の明治中期の長崎をテーマにした私の大好きなオペラで、イタリア語の洋先生に去年丁寧に翻訳を教えていただいたオペラです。
今回の公演では洋先生の字幕翻訳で上演されていて、美しい言葉の字幕に一層気持ちがたかまりました。
イタリア人であって、日本に訪れたことのないプッチーニが日本の細かいことまでよく熟知されて、お勉強をすればするほどプッチーニの凄さを感じる作品です。
今回のネオ・オペラでは、蝶々夫人のドキュメンタリーを撮影するテレビ局のスタジオという設定で、演劇で描かれている現代の女性像は仕事に没頭していて子供を育てる事を放棄して仕事にのめり込む女性。私生活では離婚協議中の設定である一方、オペラでは蝶々さんの純粋で真っ直ぐな女性像をそのまま使用し、全く逆の立場の女性で描かれています。
喋々さんは15歳という若さでアメリカ海軍士官のピンカートンと結婚し、長崎での任命が終わったピンカートンが 「コマドリが巣を作るころに戻る」 という言葉を信じて、一途に帰って来ぬ夫を愛し、待ち続ける。
3年後帰って来た時には・・・隣には新しいアメリカ人の妻がいるのです。
という悲劇お話なのですが、今回のネオ・オペラ「マダムバタフライX」では蝶々さんのストーリを現代女性目線の演劇を交えて公演されていました。
オーケストラパートは、二台ピアノとヴァイオリンとトロンボーンとパーカッションのアンサンブルで編曲され、舞台セットは「クロマキー」というCGで合成された 現実と幻想が絡み合う映像で新鮮でした。
主役の喋々さんを演じる嘉目さんも声も容姿も、とても素敵でした。
蝶々夫人のオペラは、音楽がとっても美しくて、イタリアのプッチーニの作品なのに、長崎の舞台ということもあって、日本人の私にも特に身近に感じ凄く好きなオペラの一つです。
一幕最後のピンカーントンと蝶々さんの愛の二重奏は、泣けてしまうほど美しいです。
ネオ・オペラ「マダムバタフライX」の公演は5回公演の今週末まで行われています。
■神奈川芸術劇場公演ネオ・オペラ『マダムバタフライX』
公演日時:
2012年11月10日(土)、11日(日)、14日(水)、17日(土)、18日(日)
いずれも15:00開演
会場:KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉