「自然な距離感と広がりを聴かせ、ホーム録音らしい透明度の高い響きを交え、明瞭にひとつひとつの音を聴かせる解像力の高い録音である。2010年10月にコピスみよしで収録されているが、自然さにあふれたホール・トーンでノイズ成分を感じさせない。」(『レコード芸術』3月号, 石田善之●Yoshiyuki Ishida)
「自然な距離感と広がりを聴かせ、ホーム録音らしい透明度の高い響きを交え、明瞭にひとつひとつの音を聴かせる解像力の高い録音である。2010年10月にコピスみよしで収録されているが、自然さにあふれたホール・トーンでノイズ成分を感じさせない。」(『レコード芸術』3月号, 石田善之●Yoshiyuki Ishida)
「東京都新宿区河田町の昭和初期に建てられたスペイン様式のレストラン「小笠原伯爵邸」。こちらでは2005年のオープン当初からピアノ演奏を供していて、そこで専属ピアニストを務めているのが、このアルバムの高橋牧子。武蔵野音楽大学卒業の高橋は、秩父音楽祭のオペラのピアニストを務めるなど、声楽やオペラ、オペラの合唱の伴奏者として活躍しているという。さっそくお店をネットで調べたら、豪華でシックな内装で建物としての歴史を感じさせる。同レストランではスペインの名醸ワインの夕べなどの企画等も行っているという。CDジャケットにもたくさん写真が掲載されている。ピアノは木目のアンティーク調のグランド。とはいえ、録音場所は三芳町文化会館コピスみよしなので、録音で弾いている楽器は別のものなのだろう。収録曲は昔ながらの小品(たとえば《花の歌》)やオペラのアリア(〈私のお父さん〉)、ミュージカルのナンバー(〈虹の彼方へ〉)、カンツォーネ(《カタリ・カタリ》)、バロックの名曲(《カノン》)など。注目すべきはピアニスト自身の編曲である。いずれも料理とお酒を楽しみながらにふさわしく、聴きどころのツボを押さえてコンパクトにまとめられている。それは演奏も同様で、とくにドラマティックに盛り上げたりしない。ほどよい響きを取り入れた録音とリラックスした趣の演奏が相俟って、実際にお店で食事をしながら聴いているような気になってくる。」(『レコード芸術』3月号, 那須田務●Tsutomu Nasuda)
「これがおそらくCDデビューの高橋牧子は武蔵野音大卒、様々な面に活動し、2005年以降は現在スペイン様式のレストランとなっている小笠原伯爵邸の専属ピアニストをつとめる。このCDは、そこで顧客たちを相手に彼女が奏でる200曲あまりのレパートリーから精選した曲目から成っている由。古今のよく知られたスタンダードピアノ曲をはじめ、名高いオペラ・アリア、民謡ないしポピュラー・ソングなかの編曲など、どれを取っても耳に親しいメロディが押し並んでおり、たとえおいしい料理、お酒が眼前になくとも、CDタイトルどおり、ひとときを「夢のかなたへ」遊ばせてくれるディスクだといえよう。ポピュラー曲に関しては自分の編曲による、と但し書きにあるとおり、音楽の何たるか、とりわけ、音楽はいかにしてよく歌わせるべきかを心得たピアニストであることは、冒頭の《カノン》(パッヘルベル)、つづくショパン《夜想曲》(作品9-2)を聴いただけでも察せられる。タッチの美しさに支えられた歌ごころの豊かさは前編にわたって快いのだが、ひとつ気付いたことを言わせて頂くなら、アルベニスの〈グラナダ〉で、短調へと映る中間部の旋律は、音がひとつ違ってはいないだろうか(そのように書かれた版がもしあるのだとすれば、それは誤った版だと思う)?既に繰り返したとおり、これは全体として美しい小品アルバムであり、けちをつけるような意図は全くないことを御理解ありたい。」(『レコード芸術』3月号, 濱田滋郎●Jiro Hamada)