■鉛筆が奏でる 色彩のメロディー『デュフィ展』■
ラウル・デュフィ(1877-1953)はピカソやマティスなどと同時代、20世紀前半にフランスで活躍した画家です。
音楽好きな父親のもと、北フランス、ノルマンディー地方の港町ル・アーヴルで生まれ、パリではマティスやセザンヌに感銘を受けます。
デュフィのことを知らなかった私ですが、ポスターを見る度に何となく気になっていた『デュフィ展』。
マティスの絵が大好きな私は、デュフィが同時代にフランスで活躍して感銘を受けていたことを知って嬉しくなりました♪
「色彩の魔術師」といわれているデュフィは、独自の美しい色彩表現や躍動のある軽いタッチで観ているだけでワクワクして幸せな気持ちになる作品ばかり。 パステルカラーの色彩がとっても綺麗でした♪
代表作には、高さ10m、幅60mの大作壁画、パリ万国博覧会のために描かれた〝電気の精〟では電気の歴史に貢献した科学者や哲学者など歴史的な人物、エジソンやアルキメデスなど110名が描かれています。
とてもユニークな発想の巨大なパノラマ壁画には、パリの市立近代美術館にあります。
詩人ギヨーム・アポリネールの『動物詩集』ではモノクロ木版画の挿絵を、
《ギヨーム・アポリネール『動物詩集あるいはオルフェウスとそのお供たち』 クジャク》
1909年にはパリで活躍したファッション・デザイナーのポール・ポワレとの出会いでは布地のデザインモチーフを提供し、絵画以外の仕事に集中する時期もありました。
デュフィの作品は、輪郭から色彩がはみ出してしている作品が特徴なのですが、その後、独自の手法で絵画を表現していきました。
私のお気に入りの作品は、
オペラ座、ムーランルージュ、エッフェル塔などのパリのモニュメントを背景にドレスを身にまとった女性が描かれている
《マキシム》1950年
音楽愛好家の家族で育ったデュフィは、音楽をこよなく愛していたので、音楽をテーマにした作品が沢山あったのも嬉しかったことの一つ。
尊敬する作曲家、バッハ、モーツアルト、ドビュッシーへのオマージュの作品、コンサートホールでのオーケストラの風景など作品の多くは音楽をテーマにしていました。
《クロード・ドビュッシーへのオマージュ》1952年
ポスターにも使用されていた
《ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ》1952年
音楽や楽器の他、南仏の海岸、馬や薔薇のモチーフ、ヨットやレガッタのシーンや社交界など、ポワレのデザインした洋服やドレスに身を包んだ人々も数多く登場しています。
デュフィ独自の動きのある輪郭と明るい色彩、そして色彩が輪郭からはみだしている手法は、バラの花びらが朽ちていく様子、葉っぱのゆらぎなど絵画から躍動感を感じることができ、音楽をテーマにした作品では、目に見えない音色、会場の熱気までが絵から聞こえてくるような気がしました。
デュフィ自身が絵を書く喜びを色で表現されているそうです。
デュフィの作品は、観ているだけで、そして絵の前に立っているだけで幸せな気持ちでいっぱいになった展覧会でした(^o^)